【相続税対策】24の節税手法をすべて大公開!

相続税対策・節税

1-1. 贈与税の基礎控除額(110万円)を利用して節税しよう。

生前贈与を利用した相続税の節税方法をご紹介します。生前贈与とは、贈与者が生きているあいだに、受贈者との間の契約によって財産を移転させることいいます。要するに、日常用語でいうところの「あげる」という行為です。

なぜ単に「贈与」と言わずに「生前」という言葉を前につけているかというと、相続税を考える場面では、「遺贈(いぞう」や「死因贈与」との区別をつける必要があるからです。

 

【相続税を節税できるリクツ】

被相続人が生きている間に、財産を他人に贈与してしまえば、被相続人が死亡時に有している財産(相続財産)がそのぶん減ります。相続財産が減れば、相続税も減ります。基本はそういうリクツなのですが、相続税はかからなくても贈与には贈与税がかかるため、相続税を払った方が有利なのか贈与税を払ったほうが有利なのかという損得勘定をしなければなりません。

ここで注目されるのが贈与税の計算の際の基礎控除です。

贈与税の計算には、受贈者1人当たり1年間で110万円という基礎控除が設けられています。このため110万円以下の贈与を毎年繰り返しているぶんには贈与税がかからないのです。相続財産を減らすことができ、かつ贈与税もかからないこの方法は「暦年贈与」とよばれ、相続税の節税方法として大いに利用されています。贈与の対象は金銭に限られませんので、事業承継対策として毎年少しずつ株式を贈与することもよく見られます。

 

【メリット】

① 受贈者は何人でも、誰であってもかまわない

生前贈与という行為は、民法上の普通の贈与(あげます・もらいます)ですから、受贈者に人数の制限もなければ誰でなければならないという身分上の制限もありません。

基礎控除の110万円の制限は贈る側(贈与者)ではなく贈られる側(受贈者)ごとにカウントされますので、例えば5人に110万円ずつ贈与すれば、1年間で550万円の相続財産を減らすことに成功します。

毎年こつこつと10年間くりかえせば5500万円の財産が無税で移転できます。

 

【デメリット】

① 相続開始前3年以内の贈与は相続税の計算に相続財産に加算されます。

相続人が被相続人から受けた生前贈与の額は、相続開始3年以内の分は相続税の計算の際に加算しなければなりません。つまり、被相続人の死亡の時期が近づいてから慌てて贈与を開始した場合には、相続税の節税にはなりません。

② 受贈者は、贈与された財産を自由に使用・処分できる必要があります。

よくあるのが、被相続人が相続人名義の銀行口座に毎年贈与(入金)を繰り返しているものの、その預金通帳と銀行印を被相続人が管理しているケースです。この事実が発覚すると、税務署は単なる租税回避行為と考えて「贈与」とは認めてくれません。贈与は「あげる」という行為ですから、「もらった」側が自由に使えないようでは、贈与とは言えないというわけです。

贈与者が振り込んだお金は受贈者が自由に使用できる状態でなければならないため、受贈者に金銭管理能力がない場合には選択が困難な節税手法です。

 

【注意点】

① 「贈与」と認められる契約書を作成しよう

まず、民法上の贈与契約は「双方契約」と呼ばれ、贈与者だけの一方的な意思のみでは成立しないものとされています。「あげます」という意思のほかに、「もらいます」という受贈者側の意思表示も必要なのです。このため贈与契約書には、贈与者と受贈者の双方が記名押印または署名をしている必要があります。

これと関連して、贈与者が認知症になってしまった場合には暦年贈与は続けることができなくなります。なぜなら贈与契約の成立には、贈与者と受贈者とのあいだの意思表示の合致が必要ですが、認知症の方はもはや有効な意思表示ができなくなっているからです。ただし「信託」のスキームを活用して受益者代理人を置くなどすると、信託の受益者が認知症となった後でも受益者代理人と協議することで贈与を継続することができます。

② 「暦年贈与」と認められる契約書を作成しよう

暦年贈与として毎年110万円の基礎控除が認められるためには、1年ごとに新たな贈与契約を結んで契約書を作成する必要があります。今後10年間、毎年110万円ずつ贈与しますというような契約内容ですと、仮に贈与の総額が記載されていなかったとしても暦年贈与とは認められない可能性があります。これを「連年贈与(れんねんぞうよ)」「定期贈与(ていきぞうよ)」と呼んだりします。

 

1-2. 毎年110万円を超える贈与をして相続税を節税しよう。

贈与税は相続税の補完税と位置づけられているのですが、平成25年のデータでは、40万人以上の方が贈与税を申告し、1兆8千億円以上もの財産が贈与されています。

 

贈与税の基礎控除は、毎年受贈者1人あたり110万円です。ですから110万円を超える贈与をすれば、超過分について贈与税を支払わなければなりません。それでも贈与税を支払う方が相続税を支払うよりも有利なのであれば、相続まで待つのではなく生前に贈与すべきこととなります。

 

それではその判断はどのような基準で行えば良いのでしょうか。

理論上は、贈与税の実効税率(=贈与税額÷贈与した財産価額)が相続税の限界税率を下回っている限り、たとえ基礎控除額110万円を上回ってでも贈与すべきこととなります。

 

1-3. 孫に暦年贈与して相続税対策をしよう。

贈与税は、受贈者1人につき110万円までの基礎控除が設けられています。そして民法上の贈与は贈与の対象に制限を設けていません。したがって、被相続人が子ではなく孫に贈与することももちろん可能です。

 

子ではなく孫に贈与するとどのようなメリットがあるのでしょうか?

まず、祖父母が直接孫に贈与をすれば、世代を1つ飛ばすことになり、相続税の課税が1回減ることになり節税になります。

 

暦年贈与の場合、相続開始3年以内の贈与は相続税の計算時に相続財産に加算する必要がありましたが、これは受贈者が相続人である場合です。

孫が相続人でない場合には、相続開始3年内に孫が受けた贈与額は足し戻す必要がなく、相続が迫っている場合に暦年贈与するのであれば孫、という相続税対策が検討されることになります。

 

1-4. 相続時精算課税制度を利用して相続税対策をしよう。

相続時精算課税制度とは、

①60歳以上の祖父母・父母から20歳以上への子・孫への贈与については、

②贈与額2500万円までは贈与税がかからず、

③2500万円を超える贈与については一律20%の贈与税を課し、

④相続が発生したら相続財産に贈与額を加算して相続税を計算し、

⑤すでに支払い済みの贈与税があれば、その分を相続税額から差し引いて精算する、

という制度です。

 

相続時精算課税制度そのものは親世代の財産を早めに子世代に移転することを促す目的のために創設されたもので、その名のとおり最終的には「精算」するのですから、選択すれば必ず相続税を節税できるような制度ではありません

 

しかし④で相続時に贈与額を加算して相続税額を算出するさい、その加算する額は「贈与時の評価額」であることに着目すると節税対策に使うことができます。

つまり、贈与時よりも相続時に時価が高くなるような財産を所有している場合には、早めに贈与してしまえばその価格を固定でき、結果として支払う税額が少なくなります。

 

またこの制度を利用して収益不動産を早めに子世代に移転させてしまえば、贈与時以後に収益不動産から生まれる収益は親世代ではなく子世代に蓄積されます。その分、親世代の相続財産は減りますのでやはり相続税対策として検討される価値があります。

 

1-5. おしどり贈与を活用して相続税を節税しよう。

贈与税は、年間110万円までの基礎控除のほかに、いくつかの個別の控除項目を設けています。そのひとつがこの「おしどり贈与」で、

①婚姻期間が20年以上ある夫婦間での

②居住用不動産の贈与または居住用不動産の購入資金の贈与で、

③贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、その居住用不動産に住んでおり、かつ、引き続き住み続ける見込みがある場合には、

2000万円までは贈与税を課さないという特例です。

 

【メリット】

①110万円の基礎控除と併用できるため、その年については合計2110万円までの贈与が非課税となります。

②相続開始前3年以内のおしどり贈与であっても、相続時にその額を相続財産に加算する必要がありません。

 

【注意点】

①おしどり贈与の適用をうけるためには、特例の提要の結果として贈与税が発生しない場合でも、贈与税の申告をする必要があります。配偶者控除の枠内であれば申告が不要である所得税の理解と混同しないようにしましょう。

②居住用不動産ではあっても、セカンドハウスや別荘は該当しません。自宅が対象です。

③同一配偶者から一生で一度しか受けることができません。

④贈与税はかかりませんが、不動産の名義をかきかえるための登録免許税や、不動産取得税はかかります。

 

1-6. 子や孫の教育資金を一括贈与して相続税対策をしよう。

父母や祖父母などの扶養義務者が教育資金を必要なつど贈与するぶんについては以前から非課税でしたが、平成25年からは、直系尊属が30歳未満の直系卑属に教育資金を一括で贈与する場合も1500万円(塾やスポーツ教室、音楽教室などの習い事の場合は500万円)までは非課税となりました。

 

【メリット】

① 1人につき1500万円ですから、子や孫の数が多い被相続人は無税で多くの財産を移転させることができます。

 

【注意点】

① パターンはいろいろありますが、いずれにせよ教育資金管理契約を結ぶ必要があります。

② 教育資金非課税申告書を金融機関経由で税務署長に提出しなければなりません。

③ 口座から支払いを受けるためには、領収書を金融機関に提出する必要があります。

④ 受贈者が30歳になった時点で口座に残高があった場合は、贈与税の対象となります。

 

1-7. 住宅資金を贈与して相続税対策をしよう。

子や孫が直系尊属(父母・祖父母)から住宅を購入したり増改築をする目的の資金の贈与を受けたとき、一定額まで贈与税が非課税となる特例です。

 

贈与を受ける子や孫が

①贈与を受けた年の1月1日現在において満20歳以上であり、

②合計所得金額が年間2000万円以下であり、

③贈与の翌年3月15日までにマイホームに居住しており、または遅滞なく居住することが確実であると見込まれれば、

適用をうけることができます。

 

また、マイホームにも要件があり、

①新築物件の場合には一定の床面積を満たしていなければならず、

②中古物件の場合には床面積に加え、築年数(例えば、木造家屋は築20年以下、マンション等の耐火建築は築25年以内など)が一定の範囲内であり、

③増改築の場合には工事費用が100万円以上である

などの細かな必要があります。

 

【メリット】

①住宅取得資金の贈与の特例をうけた金額については、相続開始3年以内の贈与であっても、相続財産に加算する必要がありません。つまり、相続の時期が迫っていてもとることができる相続税対策といえます。

②相続時精算課税を選択している場合でも適用することができます。

 

【注意点】

①マイホームの購入先が一定の親族や特別の関係先である場合には適用になりません。

②この特例をうけることについて贈与税申告する必要があります。

 

1-8. 結婚・子育て資金を一括贈与して相続税対策をしよう。

父母、祖父母から結婚費用、子育て資金を一括贈与された20歳以上50歳未満の人は、一定の要件をみたせば、1000万円(結婚費用は300万円)までは非課税となります。

 

結婚・子育て資金には、

①挙式や結婚披露宴の会場費など

②入籍日の1年前後内に締結した賃貸契約に関する費用

③妊娠、出産、育児(予防接種・保育園の入園料など)に関する費用

が該当します。

 

【注意点】

①結婚・子育て資金管理契約を締結する必要があります。

②結婚・子育て資金非課税申告書を、金融機関を経由して、所轄の税務署に提出する必要があります。

③口座から資金の支払いを受けるためには、金融機関に領収書を提出する必要があります。

④受贈者が50歳になった時点で口座に残高があった場合には、その額に対して贈与税がかかります。

⑤金融機関との契約期間中に贈与者(父母・祖父母)が死亡し、その時点で口座に残高があった場合には、その残高について相続税が発生します。

 

2-1. 現金で貸家を取得して相続税を節税しよう。

貸家とは他人に貸して収益を得る建物(アパート・マンション)のことです。

現金で貸家を取得するとなぜ相続税の節税になるのでしょうか?

その理由は、現金は額面(時価)と相続税評価額が完全にイコールであるのに対して、貸家は取引価格(時価)よりも低い相続税評価額が設定されているところにあります。

 

まず、現金5000万円で取引価格5000万円の建物を購入したとしましょう。他人に貸す前の建物の相続税評価額には固定資産税評価額がそのまま使用されますが、固定資産税評価額はおおむね取引価格(時価)の70%程度に設定されますので、この時点で購入した建物は相続税評価額としては70%に圧縮されます。

さらにこの自用建物を他人に貸して貸家にすると、相続税評価額はさらに下がります。貸家の相続税評価額は次の計算式で算出されます。

貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-30%)

つまり、現金で建物を購入してさらにそれを他人に貸し付けると、次のように評価額が半分以下になるのです。

 5000万円×70%×70%=2450万円

 

2-2. 貸家をリフォームして相続税対策をしよう。

アパートなどの貸家は、被相続人が生前にリフォームしてから相続すると、相続税対策になります。これはなぜでしょうか?

 

まずリフォームをすることで、被相続人の現金が減ります。その一方でリフォーム後の貸家はきれいになることで収益力がアップしますが、リフォームが建物の固定資産税評価額に影響を及ぼすことは通常はありません。

 

つまり全体の相続財産は減るけれども、建物の評価は変わらないので、その分相続税を圧縮できるわけです。

 

さらに相続時精算課税制度を利用してアパートを生前に贈与すれば、収益力のアップした貸家からの収入は被相続人には蓄積されず、相続人に入ってきますので納税資金対策にもなります。

 

2-3. タワーマンションを購入して相続税対策をしよう。

資産家である皆様は「タワマン節税」という言葉をお聞きになったことがあると思います。なぜ普通のマンションではなくタワーマンションを購入すると相続税を節税できるのでしょうか?

実は、現金で普通のマンションを購入するだけでも節税の効果はあるのです。しかしそのマンションがタワーマンションですとさらに節税効果を発揮します。秘密は、その「高さ」にあります。つまり、タワーマンションであっても低層階を購入するのであれば、普通のマンションを購入するのと同程度の節税効果しかありません。タワーマンションの高層階を購入することで、より多くの節税効果を得ることができます。

 

タワーマンションは、同じ間取りでも高層階のほうが低層階よりもはるかに高額で取引されます。その価格差はときに2倍にも3倍にもなりますが、それはタワーマンションの存在理由に起因しています。タワーマンションが「タワー」である意味はその眺望にあり、その眺望に対してプレミアムがついているのです。

一方で、タワーマンションの相続税の評価方法は、普通のマンションの評価方法と同じです。マンションの建物全体の評価額を持分割合によって按分します。持分とはつまり面積ですから、おなじ間取り(床面積)の場合は1階の相続税評価額も50階の相続税評価額も同じなのです。

ただし今後は、階が1階あがるごとに評価額も高くなるように改正されます。

具体的には実際の床面積に階層別専有床面積補正率(%)が乗じられることとなり、おおよそ40階で1階の10%増し評価、50階で1階の12%増し評価となります。

つまり1階にあれば100㎡として評価される間取りが、50階にあれば112㎡あるものと補正して評価されることを意味します。

このように今後は、タワーマンションの1階と最上階とでは最大で十数パーセントの評価差が生まれることとなったのですが、それでもなおタワマン節税は存続するものと考えられています。

なぜなら、1階と最上階の価格差は通常2倍にも3倍にもなり、十数パーセントの補正の範囲にはとても収まらないからです。税制改正により節税の「幅」は減りましたが、節税効果そのものは残っていると言えるでしょう。

 

2-4. 更地に貸家をたてて相続税を節税しよう。

更地に貸家をたてて他人に貸すと、なぜ相続税が節税できるのでしょうか?

自分の土地に自分で建物を建て、その自己所有の建物を他人に貸している場合、その土地は貸家建付地と呼ばれます。

そして貸家建付地の評価は次の計算式によるものとされています。

 

 貸家建付地の評価額=更地の評価額×(1-0.7×0.3)

          =更地の評価額×(1-0.21)

          =更地の評価額×0.79

          ※式の0.7、0.3の数字は、それぞれ借地権割合、借家権割合と呼ばれ、時期や地域により若干の違いが生じます。

 

式から明らかなように、更地に貸家をたてて人に貸すだけで、土地の評価を約80%にまで圧縮することができます。

さらに貸家建付地は、「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の評価減の特例を受けることができ、200㎡を限度に50%の評価減がなされる点でもお得です。

 

2-5. 貸宅地を処分して相続税対策をしよう。

貸宅地とは、他人の建物のために貸している自分の土地のことを言います。自分の土地の上に、他人所有の家がのっている状況です。自分所有の土地に自分所有の建物があって、その建物を他人に貸している状態(貸家建付地)とは異なります。

貸宅地はなぜ早めに処分してしまったほうが良いのでしょうか? その理由は、貸宅地の取引価格が相続税の評価額よりも低くなってしまうことにあります。

 

貸宅地の評価は次の式でなされます。

 評価額=自用地評価額―借地権評価額

    =自用地評価額―(1-借地権割合)

 

自分の土地の上に、他人の建物がのっているということは、その他人はなんらかの借地権を有しています。そこで、自用地評価額から借地権評価額を差引いて評価することになっているのですが、実際にこの土地を売却しようとすると、とてもではないがこの値段(相続税評価額)では売れないことが大半です。

実際に取引される価格よりも高い相続税評価額がついており、それに従って相続税を納めるくらいなら、早めに売却してしまった方がよいケースが多くあります。

 

2-6. 広大地評価を利用して相続税対策をしよう。

広大地とは、その地域における標準的な宅地の面積に比べて著しく広大な宅地で、開発行為を行う場合には道路などの公共公益的施設用地の負担が認められるもののなかから、大規模工業用地に該当するものや中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの(いわゆるマンション適地)を除いたもののことをいいます。

 

上記の広大地の要件はすべてに該当している必要があります。広大地として認められると最大で65%の減額が認められるため非常に魅力的ではありますが、言葉の意味があいまいで、実際それに該当しているかを見極めることは真の専門家以外にはなしえないといわれています。

 

例えば、「その地域における」とはどの地域をいうのか。「標準的な宅地」とは何をもって標準的というのか。「著しく」とはどの程度をいうのか。マンション適地とはどのような土地なのか。

 

これらについて国税庁は一応の回答を出していますが、不動産の個性は千差万別なので、それらの基準をもってしても該当するのかしないのかを判断するのは生半可な専門家ではむつかしいのです。あまり相続税に詳しくない税理士さんに頼んでしまうと税務署の否認をおそれて無難な申請でまとめられてしまうでしょう。

 

とりわけそのままでは広大地に該当しないが、土地を分割すると広大地に該当するというようなケースでは相続の窓口が提携しているような選りすぐりの相続税専門税理士でなければ、そもそもその可能性すら検討してもらえないケースが大半です。

 

さてこのように評価の大変むつかしい広大地ですが、晴れて広大地として認められると、どのていど評価額の減額になるのでしょうか。

 

広大地の評価額は次の計算式で求められます。

 広大地の評価額=路線価×面積×広大地補正率

 

広大地補正率の定義は次のとおりです。

 広大地補正率=0.6-0.05×(広大地地積÷1000㎡)

 

この広大地補正率は0.35を下限にしているため、最大で65%の評価減となるわけです。

 

そして上記2つの計算式から明らかなように、地積面積が大きければ大きいほど広大地補正率の値が小さくなり、広大地補正率の値が小さければ小さいほど広大地評価額は下がりますので、地積面積が大きいほど評価額は下がる結論になります。

 

2-7. 小規模宅地等についての特例を活用して相続税を節税しよう。

① 330㎡を超える自宅の土地を売却して相続税を節税する。

小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例を活用すると、被相続人の居住用の宅地は330㎡までは80%の減額を受けられます。いっぽう330㎡を超える部分については評価減を受けることができずまるまる評価されますので、330㎡を超える部分を売却してその資金で自宅の建て替えをしたり収益物件を購入するなどすれば、相続税を節税することができます。

 

② 自宅をすべて売却し、330㎡以内の土地へ引っ越しする

前項でご紹介したのは330㎡を超える部分を売却する方法でしたが、思い切って自宅をすべて売却して330㎡以内の土地に引越しすることも考えられます。そうすると、土地の全額について80%減の評価を受けられることとなり相続税を節税できます。

 

③ 二世帯住宅を建築する

昔ながらの旧家などでは、ひとつの広い敷地内に親世帯の家と子世帯の家とが並んで建っている光景が多くみられます。このような場合、子世帯の家の敷地部分については小規模宅地等についての特例の適用を受けることができません。そこで2つの家を取り壊して二世帯住宅を建てると、その敷地全体が特例の対象となり80%の評価減となるため相続税の節税になります。以前は二世帯住宅は建物内部で行き来できる構造でなければなりませんでしたが、改正により建物内部で行き来できなくても良いこととなりました。

 

④ 自宅を売却するか貸家にして家なき子になる

父が亡くなり母ひとりが自宅に住んでおり、子供は母と同居せずに自分の持ち家に住んでいるケースで、母が死亡して子が相続しても小規模宅地等についての特例を適用することはできません。なぜなら、「同居していない親族」にこの特例が適用されるためには、相続開始前3年以内にその人又はその人の配偶者の所有する家屋に居住したことがないという事実が必要だからです。

したがって、子が持ち家を売却するか貸家にして自己所有の家屋に「居住していない」状況を3年続けて「家なき子」となれば、特例の対象となり80%の減額評価を受けることができます。

 

2-8. 土地の評価減を利用して相続税を節税しよう。

① 無道路地

無道路地とは、道路に接していない宅地のことです。道路からは他人の土地を通って出入りしますので、道路に接している土地と比べて同じ面積でも使い勝手が悪いことは明らかです。

そこでこの場合には、その価額の40%の範囲内において相当と認める金額を控除することができます。相当と認める金額とは、通路に相当する部分の価額をいいます。

 

② がけ地

宅地の一部が崖になっている土地は、その崖の部分については通常の利用ができませんから、がけ地を含めた地積で単純に計算すると不公平が生じます。このためがけ地を評価する際は、がけ地の部分をがけ地でないとみなした場合の評価額に、一定の「がけ地補正率」を乗じて評価します。

 

③ 容積率が異なる2以上の地域にまたがる土地

例えば、奥行き50メートルの土地のうち、奥行き30メートルまでは商業地域にあり容積率が300%であり、奥行き30メートルから50メートルまでは第二種中高層住居専用専用地域として容積率が200%である場合、すべての奥行について路線価をそのまま反映させることは不適当なので、宅地全体の評価額から一定の額を控除できます。

 

④ セットバック

将来セットバック(接する道路の幅が法で定められた4メートルに満たないため、将来、建物を建て替える際に宅地の一部を道路として提供すること)が必要な部分を有する宅地の評価は、将来道路として提供すべき部分について70%の評価減をすることができます。

 

⑤ 高低差のある土地

山の斜面に開発された住宅地などにおいて、道路から玄関にたどり着くまでに階段をかなり上らなければならない(又は下りなければならない)ような宅地があります。このような宅地は何かと不便です。高低差のある土地は、利用価値が低下している部分について10%の減額評価になります。

 

⑥ 地盤に甚だしい凹凸のある宅地

地盤に激しい凹凸がある土地は、たとえ周辺との高低差が無くても利用価値は低下します。このような土地は、利用価値が低下している部分について10%の減額評価になります。

 

⑦ 震動の甚だしい宅地

振動が激しい宅地も利用価値が低下している部分について10%の減額評価になります。

 

⑧ 騒音など

騒音、日照阻害、臭気(悪臭)、忌み(墓地が見える)等により、その取引金額に影響を受けると認められるものについては、利用価値が低下している部分について10%の減額評価になります。

 

⑨ 土壌汚染

土壌汚染がみられる土地は、汚染がないものとして計算した評価額から、浄化・改善費用を控除して評価します。

 

⑩ 庭内神し

「庭内神し」とは、屋敷内にある社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは信仰の対象とされているものをいいます。庭内神しの設備と社会通念上一体の物として密接不可分の関係にある敷地は非課税となります。

 

⑪ 埋蔵文化財

遺跡が発見された場合、法律で発掘調査の費用は土地の所有者負担とされているため、評価額から発掘調査費用を控除して評価します。

 

⑫ 公衆化道路

ある一定の敷地内に、何棟ものマンションが建設されており、その一部がマンション住民だけでなく近隣住民などにより利用されていて「公衆化」されていると評価できる道路、公園が含まれている場合には、公衆化している道路等に使用されている面積を除いて評価します。

 

⑬ 高圧線

上空に高圧線が通っている土地は、勝手に上空を使われているわけではなく、地役権が設定されています。この地役権によって建物の構造や用途に制限を受けている場合には、30%の減額がなされます。

 

【注意点】

何らかの原因で著しく利用価値が低減している土地であっても、その影響が広範囲の「地域」にまたがって及んでいる場合、その利用価値の低減は「路線価」にすでに織り込み済みであるため個別の土地ごとの減額評価の対象とならないことが多くあります。

 

2-9. 土地を分割して相続税を節税しよう。

大きな1つの土地を相続するよりも、分割したほうが土地の評価が下がり、結果として相続税が節約できることがあります。

 

例えば、面積300平方メートル、正面路線価100万円、裏面路線価50万円、奥行価格補正率1、二方路線影響加算率0.02の土地があったとします。

 

この土地を一人の相続人が分割することなしに相続すると、土地の評価額は次のようになります【ケースA】

 

 評価額=正面路線価×奥行価格補正率+裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算率)×面積

    =(100万円×1+50万円×1×0.02)×300

    = 3億300万円

 

2筆の土地に分割してそれぞれを妻と子が相続するケースでは、土地の評価は次のようになります【ケースB】

 

土地X:面積150平方メートル、正面路線価100万円、奥行価格補正率1

  評価額=(100万円×1)×150=1億5000万円

 

土地Y:面積150平方メートル、正面路線価50万円、奥行価格補正率1

  評価額=(50万円×1)×150=7500万円

 

土地X+Yの評価額   2億2500万円

 

このように、土地を分割すると、土地の評価が7800万円も圧縮できました。

 

上のケースでは土地を等分に分けましたが、路線価の低い道路に面した土地Yの面積を路線価の高い道路に面した土地Xよりも広くすることで、さらに相続税評価額を圧縮することができます。

 

【注意点】

理論上、路線価の低い道路に面した土地の面積を広くすれば広くするほど相続税の評価額は小さくなりますがやりすぎはいけません。分割後の宅地が無道路地になってしまったり標準的な宅地の面積を著しく欠くことになるなど分割の結果が著しく不合理であれば、税務当局から租税回避が目的の不合理分割として否認されます。素人判断なさらず必ず専門家に相談しましょう。

 

3-1. 養子縁組をして相続税対策をしよう。

民法上、養子も実子と同等の相続権があります。実子を増やすことに比べれば、養子を増やすことは相対的に簡単な手段です。

 

そして相続税の計算において、法定相続人の人数が税額に影響する場面がいくつかあります。そして、すべての場面において、法定相続人の人数が多いほど税額が少なくなるため、養子縁組が相続税対策に活用されることがあります。

 

民法上、養子の数には制限がないため、例えば100人の養子をもつことも可能です。そうすると相続税がゼロになるまで養子を増やすという形で悪用する人も出てきそうです。

このため相続税の計算上は、実子がいる場合には養子1人まで、実子がいない場合には養子2人までを法定相続人の人数に含めることができるものとしています。

 

まず、相続税の計算は、実際の相続分がどうであれ、最初は法定相続人が法定相続分にしたがって相続したものとして税額を計算します。そのうえでそれらを集計し各人に実際の相続分に応じて再配分します。

法定相続人の人数が増えれば、1人当たりの相続財産も減ることになり、税率表の適用区分においてワンランク下の税率が課される可能性がでてきます。

 

次に、相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の人数」とされていますので、養子縁組で法定相続人が増えれば相続税が減ります。

 

例えば相続財産が5億円であった場合、

実子2人で養子0人の場合の相続税額は次のとおりです。

基礎控除額=3000万円+600万円×2=4200万円

課税価格=5億円―4200万円=4億5800万円

相続税額=((4億5800万円×1/2)×45%―2700万円)×2

    =1億2210万円

 

次に養子を1人むかえて、実子2人と養子1人が相続人であった場合の相続税額は次のとおりです。

基礎控除額=3000万円+600万円×3=4800万円

課税価格=5億円―4800万円=4億5200万円

相続税額=((4億5200万円×1/3)×40%―1700万円)×2

    =8653万円

 

つまり養子を1人迎えたことで、実に3557万円もの節税ができる計算です。

これは利用しない手はないでしょう。

 

さらに、生命保険金と死亡退職金には「500万円×法定相続人の人数」という非課税枠がありますのでこちらでも税額を減らすことができます。

 

ただし、養子縁組が「相続税額を不当に減らす目的でおこなわれた」と判断されれば税務当局よって否認され、養子の人数を法定相続人の数に含めることができなくなりますのでご注意ください。こちらも専門家へのご相談が必須です。

 

3-2. 墓地や仏壇を購入して相続税を節税しよう。

最近は終活(しゅうかつ)の一環として、被相続人が生前にご自分用の墓地を購入したり仏壇を購入することが一般的にみられるようになっています。近くのお墓を購入する墓友(はかとも)などという言葉も聞かれます。

生前にご自身で墓地や仏壇を購入すると相続税の節税のなるですがそれはなぜでしょうか?

答えはこれらが相続税の非課税財産とされているからです。墓地、墓石、仏壇、仏具などが該当します。

ただしいくら節税になるからと言って純金製の普通あまりみられないほど高価な仏具を購入したりすると、税務当局から美術品とみなされて課税されたりしますので注意しましょう。

 

3-3. 税額控除をしっかり受けて相続税を節税しよう。

相続税は計算の最後のステップにおいて、各人ごとの個別の事情に応じた控除項目を設けています。

控除項目は7つあり、次の順番で控除することとなっています。

① 暦年贈与で支払い済みの税額控除

② 配偶者の税額控除

③ 未成年者控除

④ 障がい者控除

⑤ 相次相続控除

⑥ 外国税額控除

⑦ 相続時精算課税分の贈与税額控除

 

1 暦年贈与で支払い済みの税額控除

被相続人から相続開始前3年以内に贈与された財産があるときには、たとえ暦年課税の基礎控除額の範囲内であったとしても、相続税の計算時にその3年内の贈与額を足し戻す必要があります。

この際、基礎控除額を超える贈与をしていた場合にはすでに贈与税を支払い済みであるわけですが、その支払い済みの贈与税額は控除することができます。そうでなければこの移転した財産について、相続税と贈与税を二重に支払うこととなるからです。

 

2 配偶者の税額軽減

配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。

(1) 1億6千万円

(2) 配偶者の法定相続分

 

(1)>(2)の場合

配偶者の法定相続分が1億6千万円に満たない場合には、法定相続分を超えて1億6千万円までは非課税になります。

 

(2)>(1)の場合

被相続人の資産が多く、配偶者の法定相続分が1億6千万円を超える場合には、たとえ法定相続分が100億、200億といった金額であっても、その額までは非課税になります。

 

配偶者控除はこのように大きな金額を控除できるため、1次相続の際に配偶者に多くの財産を相続させることが節税の第一歩であるかのように見えます。

しかし2次相続までをも考慮すると、配偶者への相続は一定の額にとどめておいた方がトータルでの節税につながることが多くあります。

 

【注意点】

a) 配偶者の税額軽減は、配偶者が実際に取得した財産を基に計算します。

 したがって、相続税の申告期限までに遺産分割が未了の財産は配偶者控除の対象になりません。

 ただし、相続税の申告書又は更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限から3年以内に遺産分割をしたときは、控除の対象になります。

 なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、控除の対象になります。

b) この税額控除の適用の結果、相続税額がゼロになる場合であっても、相続税の申告をする必要があります。

 

3 未成年者控除

相続人が未成年者のときは、その人が成人するまでの年数に10万円を乗じた金額を、相続税額から控除することができます。

 

控除を受けることができる未成年者の条件は次の通りです。

① 法定相続人であること

② 日本国内に住所がある人又は、日本国内に住所がない人でも次のいずれかに当てはまる人

イ 日本国籍を有している人で、その人又は被相続人が相続開始前5年以内に日本国内に住所を有していたこと

ロ 日本国籍を有していない人で、相続や遺贈で財産を取得したとき、被相続人が日本国内に住所を有していること

 

控除額=(20才―相続開始時の年齢)×10万円

 

年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。

 

例えば未成年者の年齢が14歳10か月の場合は10か月をカウントせず14歳で計算します。つまり20-14で20歳までの年数は6年です。したがって、未成年者控除額は、10万円×6年で60万円となります。

 

なお、未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額を使い切れないときは、その使い切れない金額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。

 

4 障害者控除

85歳未満の障害者が法定相続人であるときは、相続税の額から一定の金額を控除できます。

① 相続時に日本国内に住所がある人

② 相続時に障害者である人

 

控除額=(85歳-相続時の年齢)×10万円 ※特別障害者は20万円

 

特別障害者とは身体障害者手帳で1級又は2級とされている方などをいいます。

障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れないときは、引き切れない金額を当該障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。

 

5 相次相続控除

10年以内に相次いで相続が発生した場合、同じ財産について何回も課税されることになり、そのご家族にとって大きな負担となるため、前回の相続で支払った相続税の一部を、今回の相続で控除できる仕組みになっています。

 

なお、相次相続として一般に連想されるのが「父→母→子」の相続ですが、

「祖父→父→子」のような相続でも適用可能な場合があります。

 

相次相続控除が受けられるのは次の全てに当てはまる人です。

① 被相続人の相続人である

② 今回の相続の開始前10年以内に、被相続人が相続により財産を取得している

③ ②の時点で被相続人に対し相続税が課税されたこと

控除額=A×C/(B-A)×D/C×(10-E)/10

ここで、

A:前回の相続の際に被相続人に課せられた相続税額

B:前回の相続の時に被相続人が取得した純資産価額

C:今回の相続により相続人等の全員が取得した純資産価額の合計額

D:今回の相続により相続人が取得した純資産価額

E:前の相続から今回の相続までの期間

 

この式から明らかなように、前回の相続から今回の相続までの期間が長ければ長いほど(10年に近づけば近づくほど)、控除額が小さくなるように設定されています。

これは相次相続控除の趣旨から当然と言えるでしょう。

 

6 外国税額控除

相続によって、国外財産を相続した場合に、すでにその国の税法に従って相続税に相当する税金を支払っている場合があります。この場合には、さらに日本でも相続税を課すと、外国と日本の2国で二重に課税することとなりますので、これを回避するために、外国で支払った税金のうち一定の額を日本の相続税から控除できることとなっています。

 

7 相続時精算課税分の贈与税額控除

相続時精算課税制度を選択した場合において、2500万円までの贈与税はゼロですが、それを超過した分については一律20%の贈与税を支払っています。

そこで相続税の計算において、すでに支払い済みの贈与税については控除することができます。

 

4-1. 生命保険をつかって相続税を節税しよう。

生命保険は被相続人の死亡を原因として死亡後に生命保険会社から支払われるお金ですので、被相続人の財産ではなく民法上の相続財産ではありません。

 

しかし相続税の計算上はこれを「みなし相続財産」として計算しなければなりません。

 

ただし、死亡保険金には非課税枠が設けられておりその額は次の通りです。

 

生命保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数

 

したがって、法定相続人が3人の場合には、1500万円までの死亡保険金であれば非課税となります。

 

生命保険契約は、被保険者(誰が死亡したときに保険金が支払われるか)は同じであっても、契約者(保険料を支払う人)と受取人(死亡保険金の受領者)の設定のしかたにいくつかのパターンがあります。

 

多く見られるのは、被保険者みずからが契約者となり、受取人を相続人にするケースです【ケースA】。この場合には、支払われた死亡保険金は民法上の相続財産ではありませんが「みなし相続財産」として相続税の対象になることは先に述べたとおりです。そして500万円×法定相続人の数の額は非課税となります。

この契約方法のメリットは、死亡保険金は民法上の相続財産ではないため、遺産分割協議の対象外であることです。受取人は他に相続人がいたとしても、相続財産ではない死亡保険金を確実に自らのものにすることができます。受取人はこの方法により取得した死亡保険金を相続税の納税資金にしたり、代償分割にあてる資金とすることができます。

 

一方、被相続人が暦年贈与で相続人に資金を移転し、受贈者である相続人が契約者(保険料の支払者)兼受取人(死亡保険金の受領者)になる契約方法もあります【ケースB】。被相続人から受けた贈与を、生命保険契約の保険料の支払いにあてるわけです。

このケースでは、基礎控除110万円の範囲内であれば贈与税はかかりませんが、死亡保険金を受けっとった際に、受取人に一時所得として所得税と住民税がかかります。

したがって、ケースAの契約形態で相続税を支払うのが得なのか、ケースBの契約形態で所得税+住民税を支払うのが得なのかという比較が必要となります。

 

所得税の最高税率は45%なので、住民税の10%と合計して2分の1をかけると、最大で27.5%の税率となります。

いっぽう相続税は5000万円超1億円以下の税率が30%ですから、相続財産が5000万円以上あるのであれば、ケースBの方法で生命保険をかけるのが良いことになります。

 

4-2. 民法上の扶養義務を利用して相続税を節税しよう。

贈与税は「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」についてはかからないものとされています。生活費はその人にとって日常生活に必要な費用のことで、教育費は学費や教材費、文具費などのことです。

 

そして、扶養義務者の定義は民法877条に規定があります。

民法877条1項 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

 

そこで、父が子の生活費を負担したり、祖父母が孫の生活費・教育費を負担するなどすれば、贈与税を支払う必要がない一方で、現金という相続財産が減るため相続税対策となります。

 

4-3. 信託を利用して相続税対策をしよう。

4-4. 一般社団法人を設立して相続税対策をしよう。